法律相談 離島へ出前 |
2012/7/15 |
大阪弁護士会の弁護士らの有志が、鹿児島県の離島などでボランティアの法律相談を続けている。旅行で訪れた際、弁護士が身近にいないと知ったのがきっかけで、これまでに10回にわたって実施し、約230人の相談に乗った。今秋にも東日本大震災の被災地に出向く予定で、メンバーは「困っている人を支えるという弁護士の初心に戻れる」とやりがいを話している。さまざまな法律問題を抱えている方々が多い今の時代、気軽に身近に相談できる先として、「離島」や「被災地」にて法律相談の場を設けるという、大阪弁護士会の取り組みにとても期待しています。
有志は大川哲次弁護士(64)ら。2007年6月、同県・喜界島(喜界町)を訪れたところ、町関係者から「島には弁護士がおらず、法的なトラブルに困っている」という現状を聞いた。弁護士は約30キロ離れた奄美大島にいるが、フェリーの場合、片道2時間かかるという。
このため、大川弁護士らが同年10月、同町役場で初めて法律相談会を開いたところ、土地トラブルなど計12件の相談が寄せられた。その後も年2回程度、3~11人の有志が自費で常駐の弁護士がいない同県の徳之島や沖永良部島、与論島や1人だけの屋久島を訪ねてきた。
地元の自治体に事前に告知してもらい、公民館などで1~2日間、開いてきた。島にはもともと宅地が少ないため、境界を巡る相談が目立つ。このほか、「法律がよくわからず、相手から言われっぱなしだった」(消費者金融会社と過払い金の返還を巡って争っている男性)、「相談先がない」(夫と離婚調停中の女性)など法的サービスが行き届いていない実態を反映したケースがあり、3時間に約30人が訪れたこともあった。
昨年9月には、東日本大震災で34人が亡くなった宮城県気仙沼市の大島で開催。「夫の保険金が入ったが、全壊した自宅のローンを一括返済するよう求められた」「津波で自宅の権利証書が流された」などの相談が寄せられ、今年10月には122棟が全半壊した同県塩釜市の野々島に行く予定だ。
メンバーにとって島の人たちと食事するなど土地柄に触れることも楽しみの一つという。大川弁護士は、「大都市では弁護士が増えているが、離島は置き去りだ。相談者の感謝の言葉を活力に、今後も定期的に続けたい」と話す。
引用:法律相談 離島へ出前…大阪の弁護士有志
(2012年7月11日 読売新聞 地方版)
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