インターネットを利用した内職や副業に関する相談や苦情が、昨年度2月末までに県内の消費生活センターに14件寄せられたことが9日、県消費生活室のまとめで分かった。手軽な収入手段として利用する人がいる一方、「すぐに元がとれる」などと甘い言葉で多額の費用を請求する悪質業者もいて、同室は注意を呼び掛けている。

同室によると、トラブルになっているのは「ドロップシッピング（DS）」と「アフィリエイト」＝イラスト。自分で開いたネットショップなどで顧客から業者への注文を取り次ぎ、商品が売れると報酬が得られるDSには6件の相談や苦情があった。自分のブログなどに商品宣伝を付け、売れると利益を受け取れる「アフィリエイト」には8件あった。

いずれも通常のやり取りは問題ない。業者との間では事前に契約を結ぶことが必要で、DSの多くは契約自体は無料なのに、多額の費用を求める悪質な業者もいる。50代女性はDSを始めるため、インターネットで知った業者にホームページの制作費などの名目で30万円を支払った。事前に「毎月20万～30万円の収入があり、簡単に元手が取れる」と説明を受けたが、売り上げはほとんどなく、思うような収入は得られなかった。

一方、アフィリエイトをめぐっては、自分のサイトで業者の宣伝をしているにもかかわらず、悪質な業者側が費用を求めてくるケースも。30代女性は、自分のサイトを作ってアフィリエイトをすればもうかる―と業者に説明され、20万円を支払った。しかし、実際にはサイトへのアクセスが伸びず、収入もほとんどなかったという。

県消費生活室は「DSやアフィリエイトで利益を出す場合は、メールマガジンを発行してサイトの閲覧数を増やすなどの自己努力が必要になる」と強調。その上で「開設費用が何十万円もしたり、『絶対もうかる』と強調するような業者は、トラブルになる可能性が高いので注意を」と呼び掛けている。

DSをめぐっては3月、うその説明で契約料をだまし取ったとして、警視庁が詐欺の疑いで都内のネット会社の実質的経営者ら7人を逮捕する事件も起きている。

引用：ネットで副業、「すぐ元とれる」と多額費用請求も
（2012年4月10日 信濃毎日新聞 長野県）