被災地の民事調停大幅減…復興遅れ浮き彫り |
2011/10/9 |
東日本大震災後、被災地の民事調停の件数が、阪神大震災後に急増した状況と異なり、前年に比べ大幅に減少していることが最高裁の統計で分かった。民事調停は、金銭貸借や土地建物の権利関係を巡る紛争などが取り扱われる。減少した背景には、町ぐるみで被害を受けるなど事態の深刻さと復興の遅れがあるとみられる。最高裁は、今後増加に転じ被災地の職員増が必要になる可能性もあるとみているが、「もう少し推移を見守りたい」(幹部)としている。
◇「阪神」後は急増
最高裁民事局の統計では、阪神大震災後に神戸地裁管内の簡裁に申し立てられた民事調停の件数は震災2カ月後の95年3月に、前年同月比1.2倍の319件に増加。翌4月には同じく1.6倍の435件に膨らんだ。
震災で倒壊した家屋などの一部が隣家を壊したり、工場や事業所が被災した結果、取引先に借金が返せなくなるなどのトラブルが急増したとみられ、こうした状況を受け、同月には、神戸地・簡裁が裁判官4人体制の「震災事件処理対策センター(震災センター)」を発足。2年間、震災関連の民事調停に集中的に対応した。
一方、東日本大震災の被災地の民事調停は、震災2カ月後の5月に、仙台地裁管内124件(前年同月の50%)▽盛岡地裁管内44件(同44%)▽福島地裁管内60件(同40%)。7月の統計でも、仙台84件(同32%)▽盛岡46件(同42%)▽福島55件(同38%)にとどまっている。
最高裁の事務総局幹部は「津波被害や原発からの避難など、阪神大震災の時と状況が大きく異なっていることが反映している。件数が伸びないのは、復興が進んでいないことの表れなのではないか」と話した。
引用:東日本大震災:被災地の民事調停大幅減…復興遅れ浮き彫り
(2011年9月28日 毎日新聞)
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