武富士創業家を追い詰める「1万人訴訟」 |
2011/7/26 |
武富士の創業者一族に対して、6月30日、全国の8地裁で集団訴訟が起こされた。提訴したのは、昨年9月の同社経営破綻によって受け取れるべき過払い利息を大幅にカットされてしまったかつての利用者(債権者)たちで、北海道から沖縄までの総勢782人が参加した。
会社更生手続き中の武富士は入札の結果、韓国の消費者金融大手「A&Pファイナンシャル」が再建スポンサーとなることに決まった。近々、武富士ブランドを存続させての営業再開が噂されているが、その一方で債権者への弁済率はわずか5%前後になると予想されている。
そこで今回の集団提訴では、創業者の故・武井保雄氏と元副社長の次男には違法経営によって会社を倒産に至らせた責任があり、妻と元専務の長男も創業者の遺産を相続した以上、責任(債務)も相続しているとして、約17億6千万円の損害賠償を求めている。
これは782人の原告が本来、武富士から受け取れたはずの過払い金の総額。会社更生手続きのなかで新生・武富士が過払い金を満額返還できないのなら、足りない分は創業家の私財から支払えというわけだ。
そもそも武富士の経営破綻には計画倒産の疑いさえ持たれている。過払い金返還の増加で消費者金融各社の経営が悪化しているなかでも、武富士だけは株主に異例の高配当を続けていた。同社の大株主はもちろん創業家一族。つまり、常識はずれの高配当で会社の資産を武井ファミリーに移し、よりいっそう業績を悪化させたうえで、巨額の過払い金返還から逃れるため会社更生法の適用を申請したという見方ができるのだ。
こうした資産移転やグレーゾーン金利など、法の目をかいくぐって私腹を肥やしながら、債務返還に関しては法を盾に逃げ切りを図る。そんな創業家一族に対して「ふざけんな!」と憤りを覚えるのが、真っ当な市民感情というものだろう。だからこそ今回の集団訴訟が起こされたわけだが、武井ファミリーの経営責任を争点にして勝利するには厳しい裁判であることも、また事実なのだ。大手消費者金融を相手にした同様の訴訟において、最高裁で勝てた例はこれまでないのである。
だが、前例がないからとあきらめていたのでは何も始まらない。ましてや、この裁判、困難なのは確かだが、決して勝ち目のない戦いではない。
引用:“逃げ得”を絶対に許すな!武富士創業家を追い詰める「1万人訴訟」計画が発動
(2011年7月16日 週プレNEWS)
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