東電、来年度電気代16%値上げ |
2011/6/16 |
東京電力福島第1原発事故の損害賠償を巡り、政府の東電支援策の前提となった同社の財務試算が13日、毎日新聞が入手した内部資料で明らかになった。賠償総額を10兆円と仮定し、原発から火力発電に切り替える燃料費の増加分を電気料金に上乗せ、12年度から約16%(一般家庭の場合月額1000円程度)値上げして東電に収益を確保させる。東電はこの収益を原発事故の賠償に回す仕組みで、事故による負担増を利用者に転嫁する構図となっている。
政府は14日、東電の賠償支払いを、原子力事業者からの負担金や交付国債の発行で支援する「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定する方針。試算は支援策を固めるにあたっての「検討用資料」として経済産業省などが作成し、今後10年分の財務諸表などを盛り込んでいる。
試算によると、東電は支援機構の支援を得て、12年3月期から年2兆円の賠償費用を5年間計上。廃炉費用も2年間で1兆円を計上する。柏崎刈羽原発(新潟県)の運転停止が継続する場合、年約9000億~1兆円の燃料費が上乗せされ、14年3月期まで4期連続で最終赤字となる。
燃料費の増加分は、12年春に電気料金を約16%値上げして吸収する。電気料収入は約4・6兆円(12年3月期)から約5・8兆円(15年3月期)に増加。東電は15年3月期に1735億円の最終黒字を確保するシナリオだ。
11、12年度には機構を引受先に優先株を発行し、計2兆円を資本注入。賠償支払いに備えた巨額の引当金で財務が悪化するのに備え、支援機構からの資金支援を前提に引当金と同額を「機構宛て請求権」として資産計上し、債務超過を回避するとしている。また、16年3月期に金融市場での社債発行を再開し、5年間で計4・2兆円を調達する出口戦略も描く。金融機関や社債権者への支払利息は据え置き、株主配当も19年3月期の再開を見込む。【三沢耕平】
引用:東日本大震災:「東電、来年度16%値上げ」 政府支援策、賠償10兆円で試算
(2011年 6月14日 毎日新聞)
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